なぜ私が日本のディープテックについて書き始めるのか
創刊号。データベースを育てながら国内DeepTechの動きを定点観測していきます。
はじめまして。あるいは、お仕事やXなどでお会いしている方は、あらためまして。 fukkai / 福海道登です。
今日から、Substackでニュースレターを始めます。創刊号では、なぜ始めるのか、何を書くのかをお話しします。
ソフトウェア、クリプト、そしてAIで繰り返されてきたこと
2017年、19歳のときにVCの仕事を始めて、あっという間に10年目になりました。前半は、ソフトウェアを中心とした広いインターネット領域へのシード投資。後半は、web3ブームに始まり、最終的にオンチェーン金融の文脈に落ち着いたクリプト領域へのシード投資。この10年間、一貫してシード投資の現場にいました。
その中で、年々強くなってきた危機感があります。テクノロジーの波に遅れを取るたびに、国富は根こそぎ持っていかれ、他国のインフラの上で生きる弱い立場を強いられる、ということです。ソフトウェアで起き、クリプトで起き、そして昨今のAIでも、同じことが起きつつあります。検索も、クラウドも、SNSも、決済も、そして生成AIも——私たちは他国のインフラの上で「使う側」に回り続けています。
この4年間は海外に身を置いてきましたが、外から見るからこそ、世界の中での日本のプレゼンスの低さを突きつけられる場面が多く、正直、悲しい思いをしたことが何度もあります。
それでも——いや、そうだからこそ——ものづくりとテクノロジーこそが、日本に残された希望だと私は考えています。
それでも、いまワクワクしている理由
そして、その希望にはいま追い風が吹いていると感じます。生成AIによってあらゆるプロセスが効率化され、研究開発のスピードは目に見えて上がっています。イノベーションが生まれる速度そのものが変わろうとしている。この変化には、素直にワクワクしています。
とりわけ関心があるのは、AIネイティブな若手研究者たち——それこそ、いま28歳の私と同世代や、その下の世代——が、これからどんなアウトプットを世の中に出してくるのかです。
このニュースレターの目的
日本から、21世紀を代表するイノベーションメーカーを生み出す。そのために、このニュースレターが果たせる役割は小さくても3つあると思っています。挑戦する起業家・研究者にとっての何かのきっかけになること。彼らにリスクマネーが供給されるきっかけになること。そして、私自身がそうした人や機会に出会うきっかけになることです。
もうひとつ、個人的な原体験があります。この半年間、DeepTech領域のリサーチを進めてきました。ところがこの領域は、ソフトウェアやクリプトに比べてネット上で発信する人が明らかに少なく、キャッチアップに相当苦労しました。
だからこのニュースレターは、まず「私自身が知りたい情報をリサーチし、体系立ててアウトプットする場」にします。私が欲しかったものをつくれば、同じ苦労をしている誰かの役に立つはずです。
国内DeepTechのデータベースを公開しました
もうひとつ、創刊に合わせてのお知らせです。リサーチを進める中で、生成AIを活用して、国内DeepTech系VC各社のポートフォリオ情報など公開情報から国内DeepTechスタートアップのデータベースを作成し、deeptechvc.jp で公開しました。現時点でスタートアップ414社、VC・ファンド82社、業界人材182名を収録し、大学発ベンチャーは出身大学別に絞り込めるようにしています。
自分がリサーチしたり、情報を整理したくてNotion上で作成していたものをベースに作成しているのですが、正直に言うと、まだ精度は発展途上です。AIで公開情報から収集したデータのため、網羅性や正確性は保証できません。それでも公開するのは、生成AI時代には一個人が片手間でもこの規模のデータベースを作れる、というひとつの実例になると思ったからです。まずは参考程度に触ってみてください。そして「ここが違う」「うちが載っていない」という指摘は大歓迎です。むしろ、その指摘で精度を上げていくための公開です。
何を書くか
書くことは、大きく3つです。ひとつめは、日本から21世紀を代表するテクノロジーを生み出そうとしている、スタートアップと研究開発の現場について。ふたつめは、それを支える政府・行政・大学・メーカー・VCといったプレイヤーたちの取り組みについて。そして3つめに、先ほど紹介したdeeptechvc.jpのデータベースを育てながら、そのデータから見えてくる国内DeepTechの動きを定点観測していきます。
読んでほしい人
日本のスタートアップ・VC・テック業界で働く方、DeepTech領域や新たなテクノロジーに関心のある経営者・投資家の方を思い浮かべて書きます。もちろん、それ以外の方も歓迎です。
購読について
このニュースレターは、当面すべての号を無料でお届けします。そのうえで、数ヶ月以内をめどに有料プランを始める予定です。有料化後も、論考や時評はこれまでどおり無料で配信します。有料でお届けするのは、DeepTech領域を分野ごとに体系立てて整理していくリサーチ連載です。いま無料で登録してくださった方には、有料プラン開始時に創刊特典をご案内するつもりです。
そして、返信はそのまま私に届きます。感想でも反論でも、データベースへの「ここが違う」という指摘でも構いません。規模より対話を大事にしたいので、いただいた返信にはできる限り目を通し、お返事します。
それでは、また次の号で。
福海道登(fukkai) X: @fukkai_vc / deeptechvc.jp

